過払い請求は自分でできる! 自分でやる方法と過払い訴訟の流れ

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ここ数年よく聞く「過払い金請求」
これは、貸金業者やカード会社から「払い過ぎた利息を返してもらう」ことを言います。

 

これまでにアコム、アイフル、プロミスといった貸金業者やオリコ、セディナ、セゾン、ニコス、エポスカードといった信販会社からお金を借りていた方には、この「過払い金」が発生している可能性があります。

 

最近「過払い金返還請求の期限が迫っています」といったCMをよく耳にしますが、完済から10年経つと「時効」と言って請求できなくなるので、確かにあと数年でかなり多くの方が過払い金を取り戻すことができなくなってしまいます。

 

とはいえ弁護士に頼むのも何だか嫌だという方のために、今回は過払い金を自分で請求するための方法をご案内します。

 

自分でやる過払い請求と訴訟の流れ

 

 

1 過払い金とは「払い過ぎた利息」のこと

 

かつて、貸金業者やカード会社はお金を貸した時に28%くらいの利息を取っていました。

 

本来こういった利息を取るにはかなり厳しい条件をクリアしなくてはいけなかったのですが、ほとんどの業者がこの条件を守っていませんでした。

 

というわけで、実際は18%ほどしか取ってはいけなかった利息を、10%ほど余分に取っていたわけです。

 

この約10%が「過払い金」です。

 

たった10%かぁ……と侮ってはいけません。

 

50万円を借りたら払い過ぎは年間5万円。
10年間取引をすれば単純に計算しただけでも50万円の過払い金が生じます。

 

もちろん、取引の内容によって個人差はありますが、2006年頃に取引をしていた方についてはほぼ過払いが発生しています。

 

 

2 過払い金返還請求の大まかな流れ

 

まず、業者からデータを取り寄せて計算します。

 

計算の結果、過払い金があるとなったら業者に電話して話し合いをします。

 

データを取り寄せて過払い金を計算

 

この段階で業者からは大体半分くらいのお金を返すといった話がきます。
全部返して欲しいという時は基本的に裁判をする必要があります。

 

実際お金が返ってくるまでの期間は業者によって差がありますが、概ね3ヶ月から半年。
裁判をする場合はもう少し時間がかかることが多いです。

 

 

何だか難しそう……という時は弁護士に頼めば概ね20%くらいの報酬で過払い金を回収してくれます。

 

なお、司法書士に頼むこともできますが、弁護士と比べて取り扱うことができる仕事に制限があるので、最初から弁護士に頼んだほうが無難です(弁護士だから報酬が高いということもありません。というより事務所によって報酬に差がありますのでネットで色々探してみてください)。

 

 

3 過払い金返還請求のデメリットはほとんどなし

 

基本的に過払い金返還請求をした業者と再び取引をすることはできません。

 

ごくまれにその業者だけではなく、そのグループ全体と取引できなくなることもあるようです。
ただ、信用情報には何も記載されないので、過払い金を請求したから信用情報がブラックになるということはありません。

 

というわけで、過払い金返還請求をしてもさほどのデメリットはないと思われます。

 

 

4 過払い請求を自分で行うときの具体的な流れ

 

(1) 取引をしていた業者に電話をして、「取引の履歴が欲しいので送ってください」と伝えて下さい。

 

すぐに「取引履歴の開示請求書」といったものを送ってくれるので、住所などを記入して業者に返信。
2週間ほどすると履歴が送られてきます。

 

借金の取引履歴の開示請求

 

Q:業者に電話するって何だか怖いんですけど

A:特に怖いことはありません。
私も相談をお受けする際に、履歴の取り寄せを案内することがありますが、みなさん取り寄せできています。

業者が取引履歴を開示する義務があることは最高裁でも認められています。
万が一不当な対応を受けたと感じたら、録音してお近くの財務局にでもご相談ください。

 

Q:「どうして履歴が欲しいのか」と聞かれたりしないのですか。

A:聞かれることもあるかもしれませんが「過払いが出ているか確認したいんです」と正直にお伝え頂いて問題ありません。

 

Q:履歴の開示を求めたら「すぐに10万円を返す」と言われました。話をまとめてしまってよいでしょうか。

A:その10倍以上の過払い金が発生している可能性があります。
「ひとまず履歴を送って欲しい」とお伝え下さい。

一度お金を返してもらってしまったら(業者と話をまとめてしまったら)、その他に過払い金が発生していたとしても返してもらうことはできません。

 

 

(2) 履歴が届いたら、過払い金を自分で計算してみよう!

 

いわゆる【サラ金】と呼ばれている業者は取引日と取引金額を一覧表にした「取引履歴」を送ってきます。

 

一方で【信販系の会社】は正しい金利で計算した「取引履歴」と過払い金が記された書面を送ってくることが多いです。

 

とはいえ、信販会社の履歴というのは業者にとって有利な方法で計算したものなので、もう一度あなたが計算し直す必要があります(どうして計算方法に有利や不利があるのかということは後で)。

 

自分で引き直し計算をする

 

過払い金の計算をすることを「引き直し計算をする」といいます。

 

「引き直し計算書 Excel」といった言葉で検索するといくつも資料が出てくると思うので、そこに取引日と取引金額を打ち込んでいくだけで自動的に計算が完了します。
概ね、1〜2時間もあれば計算が完了するはずです。

 

 

Q:何だか数字がいっぱい出てきてどうやって計算したらいいかわかりません。

A:ひとまず取引日と金額だけに注目して打ち込んで下さい。

 

Q:過払い金の他に、利息というのがあるのですが、これは何ですか。
私が払った利息とはちょっと違うようなのですが。

A:これは過払い金の利息です。
この利息は5%と決まっています。

例えば、過払い金が100万円あったとすると1年間に5万円ずつ利息がつきます。
厳密に言うと、業者が「分かっていて高い金利を取っていた」といえる場合だけ利息がつくのですが、裁判ではほとんど全ての業者が「分かっていた」と認められています。

ただし、裁判前の話し合いの段階では業者は絶対に利息を認めないので、実際に利息を回収できるのは裁判をしてからとお考え下さい。

 

Q:取り寄せてはみたものの計算がやっぱり計算が面倒です。

A:うちの事務所に依頼していただくこともできますが、受任を前提として計算をすることになります。
「過払い金の計算無料」などといっている法律事務所もあるようなので計算してもらってください。

※詳細はこちら→過払い金有無の調査

 

 

(3) 過払い金があったら請求しよう!!

 

業者に電話をして、「会員番号★★の△山△夫といいますが、この前送ってもらった履歴を元に計算したら過払い金が200万円、利息が50万円あったので、合計250万円をすぐに返して下さい」と伝えて下さい。

 

「書面で送ってくれ」と言われたらこの内容を紙に書いて郵送すればOKです。

 

過払い金の請求と和解

 

ほとんど全ての業者は「うちで計算したら170万円でした。このうち10%を返します」だとか、「50%を返します」などと言ってくるはずです。

 

これでOKと考えたら、あとは和解書を取り交わしてしばらくすると過払い金があなたの口座へと振り込まれます。

 

ただ、先程もお伝えしましたが、一度「50%でOK」などと和解(合意)すると、それ以上の金額を請求することはできませんからくれぐれもご注意下さい。

 

 

Q:どうして業者の計算の方が額が少ないのですか。

A:いくつか理由がありますが、一つは利息をつけて計算していないからです。
取引が10年以上に及ぶ場合には利息一つとっても数十万円の差となります。

その他「争点」と呼ばれる計算方法の考え方の違いが有り、取引を分けて計算するかどうか、遅延利率をどのようにつけるかによって金額が大きく変わってきます。

 

Q:業者からは50%しか返せないと言われました。
何度も電話をしてお願いしているのに金額が上がりません。

A:裁判をするか、弁護士に依頼してください。

 

Q:こちらの計算結果と業者の計算結果が全く違います。
「分断」と言われているのですが、何だかわかりません。

A:「分断」というのはいくつかパターンがあるのですが、例えば完済した際に一度契約が切れ、その後また再契約して借り入れを行った場合が挙げられます。
この「完済・再契約」パターンの場合には、概ね1年ほど期間が空いていると最初の取引と後の取引を分けて計算すべきだと業者側は強く主張してきます(こうやって計算するとほとんどの場合で過払い金の額がかなり減ります)。

問題なのは分断のパターンが大きく分けると3つあり、自分のパターンがどれにあたるのかを見極めて前例に則った反論をしないといけないので、結構面倒だという点です。

もし業者に「分断」と言われたら、ひとまずは意味がわからなくても「過払い金充当合意があるので一連だ!!」と言っておけば反論になります。

 

Q:業者から「遅延がある」と言われてかなり計算金額に差があります。
これは何でしょうか。

A:約束の返済日に遅れたので26.28%(※利率は残元金と取引時期により異なります)の遅延利率で計算すべきだという主張です。
問題は、一度でも遅れたらその後すべての取引を遅延利率で計算すべきだという業者が増えており、これを認めた裁判例もわずかにあるということです。

反論の骨子としては「信義則上遅延利率を付すべきではない。
仮に遅延利率を付すとしても次回の借り入れ又は返済の時点で期限の利益の再度付与があったはずだ」
というものになります。

 

 

(4) 業者との交渉が決裂したら訴訟を提起しましょう。

 

もう何度業者に電話しても金額が上がらない場合には裁判しかありません。

 

裁判を起こす時は、あなたの管轄の裁判所(東京都にお住いなら東京地裁、請求額が140万円以下なら簡易裁判所)に「訴状」という書類を提出することが必要です。

 

訴状に関しては「過払い金返還請求 訴状 雛形」などで検索すればいくつか例が出てきます。
ここに数字を入れ込んで、計算書取引履歴を添付したら、訴額に応じた印紙を貼って、切手(いくら納めるか各裁判所に聞いて下さい)と共に裁判所に持っていけば受け付けてくれます。

 

それから訴状や証拠は相手の業者に送るため用に同じものを2部作る必要があります。

 

裁判で過払い金を取り戻す

 

裁判がどのように進んでいくかですが、例えば4月頭に訴状を裁判所に出したとすると、1回目の裁判は大体5月中旬に開かれます。

 

ただし、相手は1回目には出てきません(この時だけは書面だけ出して対応することが認められています)。

 

2回目は6月、3回目は7月とその後は約1ヶ月おきに期日が開かれ、早ければ4回、時間がかかると8回ほどで判決まで進むことができるでしょう。

 

なお、裁判官は判決を書くのが嫌なのかどうなのか分かりませんが、大抵の場合は3回くらい期日をやったところで「話し合いの余地はないですか」などと言ってくることが多いです。

 

この段階である程度の金額を返還してくれるのであれば(元金は満額、利息は半分など)、和解に応じるというのも一つの手でしょう。
ただし、個人的には時間をかけてでもきちんと取り返すのが筋ではないかと考えている次第です。

 

 

以上、ざっとではありますが過払い請求を自分でするための流れをご案内しました。

 

「分断」や「遅延」といった難しい争点が出てこない限りは十分ご自身で対応できるものだと思うので、興味のある方は是非一度挑戦されてみてください。

 

ある程度まで進めてみて、思ったようにいかないとなったら、お近くの専門家にご相談頂ければきっと有益なアドバイスをもらえるはずです。

 

うちの事務所にご依頼いただくこともできます。(全国対応です)
費用など、詳しいことはリンク先のページでご確認いただけますので、よろしければご覧ください。

 

※詳細はこちら→過払い金返還請求の費用

 

CMで言っているように、確かに時効になって請求できない過払い金が増えているので、少しでも気になった方は履歴を取り寄せてみてはいかがでしょう。

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