風営法違反|起訴されたダンスクラブ経営者が無罪に

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大阪のクラブ「NOON(ヌーン)」の元経営者が、無許可でクラブ営業をしていたとして風営法違反の罪に問われていた事件で、大阪地裁は、平成25年4月25日、無罪判決を言い渡しました。なお、検察官による求刑は、懲役6ヶ月、罰金100万円でした。
ダンスクラブは風営法違反か
「クラブ」というと、カウンターにママがいるタイプのお店(ク↓ラ↓ブ↓と発音するもの)と、若者が集まって音楽を聞くライブハウス的なお店(ク↓ラ↑ブ↓と発音するもの)があります。

 

今回は若者が集まる方のお店の事案です。以下、心のなかで「ク↓ラ↑ブ↓」と発音しながらお読みください。

 

 

警察は昔から(といっても私が知っているのは2000年くらいからですが)、何度もクラブを摘発してきました。
警察は「風営法違反」や「消防法違反」などと言い張るのですが、要は麻薬の取り締まりが目的でした。

 

しばらくは取り締まりも下火になっていたのですが、ここ数年大きなクラブが狙い撃ちされるように摘発されました。
しかし、クラブを風営法で摘発するのはどうしても無理があります。

 

風営法は、性風俗の乱れを防止するという目的のためにあり、その目的を達成するために「ダンス営業」を規制の対象としています。

 

ただ、クラブというのは集まったお客さんがめいめいに飛んだり跳ねたりしているだけです。
きまって女性客がいるということもありません。
一律に性風俗が乱れるとは到底いえないのです。

 

今回の判決は、風営法によって規制されるべきダンス営業を「性風俗の乱れにつながる恐れが実質的に認められる営業に限られる」と制限して解釈すべきだとしました。
あっぱれです。

 

 

さて、どうしてこんなにクラブの肩をもつのか不思議に思われた方も多いかもしれません。

 

クラブというと若者が深夜に集まって騒いでいるだけです。
うるさいし迷惑になることもあります。

 

それでも、私がクラブの味方をしてしまうのは、現在のクラブというのが、最新の音楽を発明する場所という点においてなくてはならないものだと思うからなのです。

 

例えば、90年代前半、クラブで33回転のレコードを45回転で流したりしているうちに「ジャングル」や「ドラムンベース」と呼ばれるジャンルが発明されました。

 

クラブで発明されたアイデアや手法が世界中に広がり、日本では90年代前半に「H Jungle With T」(小室哲哉と浜田雅功)の「WOW WAR TONIGHT」という曲が大ヒットしていますし、最近(平成26年4月)イギリスのシングルチャートで1位になった「Sigma」の「Nobody To Love」という曲もドラムンベースです。

 

ドラムンベースブームが頭打ちになった90年代後半から2000年ころ、クラブではバーチャルアナログシンセサイザーなどの分厚い音を使って和音を奏でる「トランス」と呼ばれるジャンルが流行しました。
きっかけとなったのは「System F」の「Out Of The Blue」です。

 

この手法が、現在世界中で流行しているEDMと呼ばれるジャンルの曲を作る際には欠かせないものになっています。

 

というように、クラブでヒットした曲のアイデアがその後色々と消化されていくうちに、その時代全体のトレンドとなったり、世界中でヒットする曲を生んだりするのです。
現在ヒットチャートに現れる曲の半分以上は、クラブで発明されたアイデアを利用していると言っても過言ではありません。

 

とはいえ、日本のクラブでヒットしたアイデアやジャンルが世界を席巻したようなことはこれまでありません。
初音ミクなどは近いような売れ方をしましたがあれはネット上なのでちょっと違います。

 

ただ、風営法で取り締まっていては、日本のクラブから世界に広がるようなアイデアが生まれるわけがないと思ってしまうのです。

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