意外と成立しやすい「業務妨害罪」

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意外と成立しやすい「業務妨害罪」

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最近、業務妨害罪のニュースが何件か報道されていました。

 

法定刑は基本的に3年以下の懲役又は50万円以下の罰金。
刑法の中では割と軽い方の犯罪です。

 

業務妨害罪とは偽計や威力

 

印象に残った1つ目の事件は偽計業務妨害罪の案件。

 

元JTBの社員が、高校の遠足バスを手配し忘れたことから、生徒を装い自殺をほのめかす手紙を学校に送って、遠足を中止させようとしたところ、バレて逮捕されたとのことです。

 

業務妨害罪というのは範囲が広く、わざと何かをやって仕事中の人だとかに迷惑をかけた場合に結構な割合で成立します。

 

「業務」というのが仕事はもちろん精神的、文化的活動まで広く含むと考えられているからです。
なお、個人的な生活上の行為は「業務」から除外されています。

 

さて、この事件の社員さんは、手紙を送ったがために会社を首になった上に逮捕されてしまいました。

 

やったことは確かにひどいですし、JTBとしても毅然たる対応をしなくてはいけないところですが、それでも少し同情してしまいます。
大々的に報道され、本人はもちろん家族や親族も辛い思いをするなど、実刑にいくよりずっと辛い社会的制裁を受けてしまうからです。

 

なお、旅行会社に勤務する大学の同期に聞いてみたところ、こういうのはバス会社との関係がとても重要のようです。
普段から上から目線で「仕事をあげてるんだ」みたいな態度でいると、困ったときにまず助けてもらえないとのこと。
まあ、そりゃそうだと思います。今回の方はどうだったか不明ですが。

 

 

印象に残った2つ目の事件は威力業務妨害罪の案件。

 

声優の田村ゆかりさん(17歳)のコンサート会場で、田村さんへの思いを断ち切ろうという動機からステージにラジオを投げつけてコンサートを一時中断させた事例です。

 

JTBの事件は「偽計」業務妨害罪でしたが、こちらは「威力」業務妨害罪。
計略を使ったのではなく暴力を使ったという点が違います。
なお、ライブはもう一度最初からやった模様。

 

田村さん(17歳)は、最近も「のうりん」のテーマ曲「秘密の扉から会いにきて」などの名曲をリリースするなど積極的に活動していた人気声優ですが、今回のツアーで実年齢を公表したという噂もあり、ファンの間では様々な思惑が広がっていたようです。

 

もし裁判になった場合は、「思いを断ち切ろうと思った」という動機を弁護士がどのように裁判官や検察官に分かるように伝えるかが最大のポイントとなります。
検事に言わせると「身勝手な動機」の一言で一蹴されるでしょうから。

 

そういえば本件とは別に、インターネット掲示板に東京都港区の弁護士の実名を挙げて「メッタ刺しにして殺す」などと書き込んだ事件の被疑者が脅迫で逮捕されたようです(ちなみに「港区の弁護士」というのはうちではありません)。

 

殺害予告をすると業務妨害罪で処理されることもありますが、今回は個人を特定した上で殺害方法を具体的に書いたことから脅迫という判断となったのか。
それとも、業務が妨害されなかったのか。よくわかりません。

 

なお、脅迫は2年以下の懲役又は30万円以下の罰金で業務妨害罪より軽いです。
犯人にとっては業務妨害にならなくてラッキーだったかもしれません。

 

何にせよ、思わぬことから犯罪になってしまうことがあるのです。

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