少ない…無罪になったとき、国からもらえる補償の額

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少ない…無罪になったとき、国からもらえる補償の額

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平成24年に大阪の泉大津市のコンビニで現金1万円を盗んだとして窃盗罪で起訴され、今年7月に無罪が確定した23歳の男性に対し、大阪地裁岸和田支部は、身体を拘束されたことに対する補償金として377万円余りを支払う旨の決定を下しました。

 

刑事事件の補償金は意外に少ない

 

刑事補償法では、身体拘束されて無罪となった場合に1日あたり1000円〜1万2500円の補償をすると定めています。
今回は上限の1万2500円で計算がなされた模様。

 

刑事裁判というのは大体1年くらいで終わりますから、補償の金額というのは概ね200万円から400万円くらいになることが多いです。

 

ちなみに、袴田さんの事件では身体拘束が1万7000日くらいあったので、今後無罪となれば2億円以上の補償が出ることになります。
とはいえ、過酷な取調べに耐えて、身体拘束も受けて1日1万2500円では全く割に合わないと感じる方が多いのではないでしょうか。

 

なお、補償に税金はかかりませんが、裁判所の判断を求めなければならない関係上、多くの方は弁護士を雇って手続きを行うことでしょう。

 

旧日弁連の規定によると、弁護士用の目安は概ね着手金と報酬金で24%(※300万円以下の場合)。
377万円をもらっても手元に入るのは280〜300万円ということになります。

 

 

警察官だとかの責任を追求できないのか

 

無罪判決が出るまでには、

 

@捜査をした警察官
A取調べをした検察官
B身体拘束の判断をした裁判官

 

など色々な方が関与しています。
こういった方に対して損害賠償請求をしたり、国家賠償をすることはできないのでしょうか。

 

結論から言うと「裁判自体はできるが99%負ける」。という感じです。

 

損害賠償が認められるためには、警察などの行為が「違法」と言えないといけません。
しかし、一定の疑いにもとづいて逮捕状を取ったり、取調べを行うことは合法です。

 

また一定の疑いがある方の身体拘束をすることも合法。
そうすると、逮捕状を取らないで身体拘束をしたというように普通は考えられないくらいひどい場合でないと、警察などの行為を「違法」だと言うことができません。
したがって、通常は損害賠償も認められないわけです。

 

いくら無罪になったとしても、その方の侵害された自由は返ってきません。

 

最近では逮捕された段階で解雇とする会社も少なくありません(就業規則に「無罪の主張をしており、その弁解が合理的と思える場合は除く」などと規定している会社もありますが…)。

 

住宅ローンを払っている方などは、逮捕されている間にローンが払えなくなって、住む家を失ってしまうことすらあるでしょう。

 

こんなひどい目に遭うかもしれないのに、刑事補償の1日あたりの上限は1万2500円。
弁護士出身の谷垣さんが法務大臣のうちに改正しておいて欲しかったと思うのです。

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