これはひどい!AEDを使ったら警察に通報された件

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けが人にAEDを使用したところ、痴漢だとして通報されたというニュースを聞きました。
本当ならかなりひどい話です。

 

AEDを使ったら通報された件

 

今回トラブルに遭われた方は、AEDを使うために怪我をした(?)女性の服をハサミで切ったところ、女性の知人と思われる方から警察へ通報された模様。

 

最終的には臨場した警察官に事情を説明して事なきを得たようですが、こんなことで犯罪と言われたら怖くて人助けもできなくなってしまいます。

 

常識的に考えれば、AEDを使用するために女性の服を切るのは犯罪ではないわけですが、女性に乱暴しようとして服を切ったり破ったりしたら犯罪です。

 

「切る」という点では同じなのに、一体どうして犯罪かそうじゃないかが分かれるのでしょう。

 

 

犯罪とは何か

 

刑法の教科書では、
@構成要件に該当する、A違法で、B有責な行為などと説明されています。

 

これを噛み砕いて言うのは中々難しいのですが、要は「これをやったら犯罪だよ」と書いてある行為をして、しかも正当防衛だとかが成立しないような場合に限って犯罪となるわけです。

 

 

他人の洋服をハサミで切った

 

行為だけを見ると「器物損壊罪」の構成要件にあたります。

 

そして、構成要件に当たるということは普通に考えると違法で有責な行為だということになるので、基本的には犯罪が成立します。

 

ただ、AEDを使用するという場合は「正当行為」(刑法35条)といえるので、上の「A違法」という条件を満たさず、違法性がなく犯罪不成立ということになります。

 

なお、学者的には人助けの場合はそもそも「@構成要件」に当たらないよという説があり、個人的にもこの考え方のほうがいいんじゃないかと思っているのですが、どうも実務というか警察や検察は構成要件に当たるけど違法じゃないと考えている模様。

 

これと似たものに医師が行う手術があります。
これも人をメスで切るので傷害罪の構成要件に当たりますが、違法性が阻却されて最初から違法じゃないという話になって犯罪が不成立らしい。

 

 

AEDを使うために女性の下着を外した

 

これも行為だけ見るとわいせつ系の犯罪のどれか又は複数の構成要件を満たすはずですが、「A違法」の条件を満たさず犯罪不成立となります。

 

というわけで、結局犯罪にならないんだからいいじゃないかという気もするのですが、いったん構成要件に当たると疑われたときは、自分の行為が正当だから違法じゃないということを頑張って主張しないといけなくなります。

 

善意で人を救ったのに、警察に自分が悪くないことを弁解しないといけないというのは何だか理不尽です。特に、今回はAEDが作動しているようですから、心臓が止まっていた可能性すらあります。
正直、今回トラブルに遭われた方は運が悪かったと言うしかありません。

 

みなさんは、他人の心臓が止まっていそうな時や、それに準ずる何か危ないっぽいときには躊躇せずAEDを使って下さい。

 

ただ、こういうことがあると今度は健康な女児にAEDを使おうとして逮捕される輩なんてのが出てきかねないんですよね……こういうのはさすがに私でも怒ります。
絶対にやらないで頂きたい。

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