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母子家庭の離婚後の生活。実際の収入と生活保護の実態とは!?

 

夫から激しいDVを受けてもう限界…でも子もいるし離婚したら生活ができない…という悩みの相談をよく受けます。

 

統計上は母子家庭の世帯収入はそうでない家庭の半分以下。
安易に「離婚しても大丈夫ですよ!心配ありません!!」と言えるような状況ではありません。

 

離婚後の母子家庭の生活とは

 

しかし、日本には様々な制度があることから、一般的には「その気になればなんとかなる」と考えられています。

 

今日は、これまで専業主婦で特定の収入がなかった女性が子連れで離婚をし、母子家庭となった時にどういった方法で生活の糧を得る方法があるのかをご案内します。

 

 

1 母子家庭の世帯収入はそうでない家庭の半分以下

 

最初に現状を確認しましょう。

 

厚労省の全国母子世帯調査(平成23年度)によると、母子家庭の平均年間就労収入は181万円。
各種手当を含めても291万円です。

 

同じく厚労省の国民生活基礎調査の概況(平成26年度)によると、子のいる世帯の平均年収は690万円。

 

母子家庭の世帯収入は、そうでない家庭の半分以下といっても過言ではありません。

 

母子家庭と子のいる世帯の平均年収

 

こういった数字をご覧になると、離婚してやっていけるのかという心配が杞憂でないことが分かります。

 

ただし、注目すべきは就労収入が181万円なのに、各種手当を含めると291万円と100万円ほどアップしているところ。

 

児童手当概ね月1万円、母子手当(児童扶養手当)は収入や子の人数によって変わりますが、概ね1〜5万円。

 

その他自治体によって様々な手当や割引サービスが用意されていますから、これらを合計するだけでかなりの金額になることが分かります。

 

 

2 実際に養育費を受け取れるのは約2割

 

ご自身の収入や各種手当だけでは生計を立てることができない場合は、元配偶者から養育費をもらうことが考えられます(なお、養育費を受け取ると母子手当は打ち切りになります)。

 

ところが、「養育費をもらう」ということがそう簡単ではないのです。

 

離婚後、相手方から養育費を実際に受け取っている方は全体の2割程度、平均の金額は4.2万円です。

 

【参考資料】 養育費の確保策(PDF)

 

 

私が取り扱った例でも、「元夫がどこにいるか分からない」、「DVから逃げてきたのでもう関り合いになりたくない」などといって法的には養育費の請求ができるにもかかわらず実際は受け取っていないという方が散見されました。

 

元配偶者から養育費をもらうには

 

では、養育費を払ってもらうにはどうしたらいいでしょうか。

 

教科書的な回答としては次のとおりです。

 

  1. 離婚の際に口頭又はメールで約束をしておく
  2. 約束した内容を公証役場へ行って公正証書にしておく
  3. 話し合いができない時は裁判所に調停を起こして決める
  4. 調停でも決まらなければ裁判所の「審判」で一方的に決めてもらう

 

約束は口頭やメールでも構いませんが、守ってもらえなかった時に強制力がありません。

 

公正証書にした場合や裁判所で決めた場合には、判決と同じような効果があるので、もし養育費を払ってもらえなかった時に相手の預貯金や給与を差し押さえることができます。

 

なお、裁判所の調停というのはあくまで話し合いなので、相手が拒否した時はまとまらないのですが、養育費に関しては裁判所が詳細な算定表を作っています。
もし調停が成立しなくても、収入等を証明する資料があれば調停を終わりにした上で「審判」によって一方的に養育費の金額を決めてもらえます。

 

 

とはいえ、調停や審判で養育費の金額が決まっても、相手が行方不明で差し押さえができないといったケースも多いことから、現実に養育費を受け取れていない方がたくさんいらっしゃるということになるのでしょう。

 

なお、調停や審判には半年ほど時間がかかることがあります。
その間の生活費については「婚姻費用」という形で相手からお金をもらう余地があります。

 

 

3 最後の砦は生活保護

 

ご自身の収入や相手からの養育費で生計を立てることができない場合は、最終的に生活保護などの公的扶助に頼ることができます。

 

最近は生活保護の受給者がこれまでにないほど増加しているため、お一人で役所へ相談に行っても申請を拒否されることもあるでしょう。

 

しかし、日本の生活保護の仕組み上「このままでは飢えて死んでしまう」という方については必ず生活保護が支給されるようになっています。

 

最終的には生活保護などに頼る

 

もし役所に行ってもちゃんと話を聞いてもらえなかった、このままでは明日食べるものもないというというときは、最後の手段としてお近くの弁護士会にご相談されてみてください。

 

無料で相談に乗ってくれるところも多いですし、場合によっては弁護士会の費用持ちで弁護士をつけて市役所まで同行した上で生活保護の申請をしてくれることもあります。

 

【参考:日本弁護士連合会のサイト】「生活保護の申請手続」

 

 

・生活保護で受給される金額

 

具体的にどのくらいの金額が支給されるかは、お住いの地域や子の人数、年齢によって変わってきます。

 

母1人、中学生の子1人だと概ね16万円くらい。
母1人、高校生の子が3人だと概ね26万円くらいと言われています。

 

なお、26万円の内訳ですが概ね生活扶助が約18万円、住宅扶助が約6万円、教育扶助その他が約2万円です。

 

生活保護受給者となった際に大きいのは、国保や年金を支払う必要がなくなり、医療費が無料となることです。

 

生活保護受給者は医療費が無料

 

また、自治体によっては市営住宅の共益費が無料となったり、水道料金が一部免除となることもあります。

 

生活保護費を26万円受給している世帯が家賃3万円の市営住宅に住んだ場合、家賃を引いた余りは23万円(生活保護法第57条により、生活保護受給世帯は非課税です)。

 

40万円の給与を得ている方が源泉後(所得税や住民税などの課税が差し引かれた後)に12万円程度の家賃の家に住んでいるのと概ね同じようなお金の余り方になります。

 

状況によっては最低限度の生活どころかかなり充実した生活を送ることができそうです。

 

 

以上、離婚後の母子家庭のお金について見てきました。
個人的にはもっと強制的に相手方から養育費を徴収する制度があっても良いのでは?と思うのですが、いかがでしょうか。

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